日本大学 理工学部 交通システム工学科 佐田 達典 先生 | 大学受験予備校・四谷学院の学部学科がわかる本        

Interview

レーザと人工衛星で地球を測る
――誤差ゼロをめざす最新の測量研究

日本大学 理工学部 交通システム工学科 教授
佐田 達典 先生


レーザスキャナで誤差なくデータを取るために

私は、測量で使う計測技術の研究をしています。例えば2000年頃からは、写真やレーザを使って道路や橋、トンネル、建物などを「点群(点の集まり)」で表現する技術を研究してきました。この点群の技術は、現在では国土交通省の「PLATEAU(プラトー)」という都市モデルや、建設工事の調査・設計・施工など、さまざまな場面で使われています。点群データは「レーザスキャナ」という機器で取得されます。機器を地面に置いて測る方法や、飛行機や車に乗せて移動しながら測る方法もあります。最近では、なんとスマートフォン(LiDAR機能)でも計測できるようになりました。ただ、これらの計測ツールは適切に操作しないとデータに大きな誤差が出てしまいます。そうすると、作られた都市モデルが不正確なものとなり、設計や施工に重大な影響を及ぼすことになります。そこで私は、できるだけ誤差を出さないための安定した計測方法を研究しているのです。

人工衛星で測量したときのワクワク

この研究を始めたきっかけは、1990年頃、GPS受信機が日本で初めて市販された頃のことです。私はその利用技術開発に携わっていました。カーナビのように目的地まで誘導してくれるシステムを、高精度GPS受信機を使って開発したのです。「人工衛星を使って位置を測る」という体験はとてもワクワクするもので、その感動が現在の研究につながっています。
当時、この技術は米国のGPS衛星しか使えませんでしたが、今ではいろいろな国が測位衛星(位置を測るための衛星)を運用していて、100基以上の衛星が利用できるようになりました。私は、それらの新しい衛星システムがどのくらい測量に使えるかを調べて、最適な使い方を提案する研究も続けています。

「自分の手でデータを取る」、研究の醍醐味

研究の楽しさは、実際に自分で計測機を操作して、生のデータを取れることです。データをよく観察したり、表やグラフに整理してみると、それまでわからなかったことがわかったりするので非常に面白いです。例えば、先ほど「測位衛星は100基以上ある」と言いましたが、データを細かく観察すると、ある特定の衛星を計算に使うと精度が落ちることがわかりました。それを見つけたときは驚くとともに、「研究って面白いな!」と実感できました。

佐田先生からのメッセージ

高校3年間に集中して勉強すること、様々な科目の重要事項を理解し暗記すること、文章を読んで要約すること、限られた時間内に効率的に問題を解くことは、大学で授業を受けるときも、社会に出てからも役に立ちます。例えば、授業や自習でノートに要点をまとめる習慣は、今でも打ち合せをするときや講演を聴くときに、メモをとりながら整理する力として生きています。また、教科書に書いてあることは全部記憶するくらい、基礎を徹底的に叩き込んでおくと後で応用が利きますよ。そして多くの文章を読むこと、多くの文章を書くこと、多くの問題を解くことが、大学への準備、ひいては人生を生き抜くうえでの「地力」になります。

(取材日:2025年10月)

関連情報

学部から探す

大学の学問系統別にご紹介しています。さっそく興味のある学問から読んでみましょう。

四谷学院の「ダブル教育」
四谷学院について詳しくはこちら
個別相談会はこちら
資料請求はこちら

ダブル教育とは?

予約コード17GJWAZ

『学部学科がわかる本』冊子版をプレゼント

予約コード17GJWAZ

ページトップへ戻る